大学の講義の経験から(その2)

上半期の講義が今月で終わろうとしている。この経験でどんなことを考えたかを少し整理しておこうと思う。
前回は、若い学生にとって、理論と実践事例の学習はどうあるべきかというような視点からの整理をした。
今回は、講義を行うに当たって、どのような点に留意したかということを整理してみたい。


講義を始める前に、困ったことは、何を講義するかの内容ではなく、どのレベルで講義をするかであった。
なにしろ、現在の大学生というのは、ちょうど小生の息子くらいの年齢の学生である。
彼らがどのようなレベルにあるのか、どのような点に興味を持っているのか、全くの白紙であった。
さらに、同志社大学経済学部というものを、30年前に国立大学の工学部を卒業した者が推測するのは至難の技であった。
まさに全てが手探りであった。


その手探りの中で、最初に留意した点は、環境問題、結果的に環境政策の全体像、全貌を俯瞰できるようにすることであった。
どのレベルまで掘り下げるべきかが前述したように全く手探りであったので、ドメインというか、講義の中で取り上げる内容を全体像としてどう見せるか。
そこから、どこまで掘り下げるかを次に考えればよいと判断した。
これは、小生にとっては思いのほかに、良い経験となった。
なかなか、普段扱っている領域の全体像を整理するという作業は、必要にならない。
よって、とても小生にとって良い整理となった。


次に、理論よりも実践事例、具体的事例を上げて、イメージを共有させて説明を行うという配慮を行った。
そのために、事例として、実際に経験した内容を極力加える努力を行った。
結果として、各テーマごとの内容に具体的な事例を加味するという特徴を帯びることができた。
もちろん、全てが、小生が実際に経験した事例で固められたらこれにこしたことはないが、さすがにそこまでは至らなかった。
しかし、各回で紹介した事例の7割から8割は、自らが経験した事例でまとめられたのは良かった。


そして、事例とそれらの理論的なまとめを通じて、今日的な課題、問題点の把握、整理に努めることを試みた。
これは、学生諸君にとっては、かえって、話を難しくさせたかもしれないが、将来、何らかの形で興味を持ってくれた時には、どのような位置づけであったかを把握するのに役立つだろうとの考えに基づくものであった。


果たして、これらの留意点が、どれだけ、うまく講義に役に立ったのであろうか。学生諸君に直接聞いてみようと思う。