2012年という年

今年は、様々な意味での変化の年といわれている。 政治的には、米国、中国、フランス、ロシア等の首脳の選挙が行われる。 日本でもおそらく、総選挙があっても驚かない状況である。 小生が専門としている環境政策、環境問題の分野ではどうであろうか。次の三…

「屋根の共有による太陽光発電市民ファンド」という試み -その1-

現在、市民によるファンドへの拠出により、小規模太陽光発電を加速させようとする試みを思案中である。 すなわち、市民から民家の屋根を借りて、市民による資金で、市民によってエネルギーの自立への試みを行おうとするものである。 このファンドのキーワー…

中小企業の課題 その2 〜契約管理〜

先だって中小企業に共通する課題、特に環境産業の廃棄物処理業を例に事業継承の問題を紹介した。 今回は、中小企業が事業を実施していく上で必要不可欠な契約行為に関することを紹介したいと思う。 ある事例を紹介する。 A社は、10年前に大手のプラントメー…

野田政権の原子力政策

新政権が誕生した。 菅政権から原子力政策がどう変わるのか、注目をして週末までの言動を整理してみた。 1/ 野田政権の主張は「脱原発」。 原子力政策としての発言は、明確な「脱原発」であった。 ストレステストを行った上で、既存の原発を段階的に稼働させ…

中小企業の課題 その1 ~事業継承~

弊社がお付き合いしている業種のひとつに、廃棄物処理業がある。 法律で業としての位置づけが明確になったのは、1970年。 よって、日本におけるビジネスとしての歴史は、40年と考えて差し支えない。 その前から事業をしていた方々がいないわけではないが、そ…

菅首相の退陣と脱原発

菅首相が退陣を月末にするという報道が流れている。 菅首相が最後に主張していた「脱原発」というものをもう少し考えてみたい。 菅首相の主張する脱原発で少しわかりにくいことがある。 それは、浜岡を巡る対応に全てが表現されている。 浜岡原発を将来のリ…

原子力発電を巡る経団連米倉会長と菅首相

原子力発電を巡る動きが、場外乱闘のようになりだしている。発端は、当然菅首相。 彼の個人的意見としての脱原発発言、さらに、メガソーラー構想、既存原子力発電所に対するストレステストの実施等である。 一方、経団連の米倉会長は、今までの既存の経団連…

海外での社会システムづくりのむずかしさ

本年度、佐野事務所は、環境省のプロジェクトに、住友商事、JFEエンジニアリングと共同で申請して、「マレーシアのクアラルンプール都市圏における廃棄物管理及び再資源化システムの構築」を採択された。 これは、住友商事を中心として、現地の法人や政府関…

大学の講義の経験から(その2)

上半期の講義が今月で終わろうとしている。この経験でどんなことを考えたかを少し整理しておこうと思う。 前回は、若い学生にとって、理論と実践事例の学習はどうあるべきかというような視点からの整理をした。 今回は、講義を行うに当たって、どのような点…

大学講義の経験から(その1)

半年ほどの同志社大学での講義で、いくつか気づいた点がある。それらを何回かに分けて整理してみたい。 先ず第一に、若い学生は、理論よりも実践事例を通じて課題がどこに存在するかを理解させた上で、その後に理論等を学習するほうが良いのではないかという…

CSRの今日的な意義

同志社大学での講義も明日の6月29日で、11、12時限目となり、その準備のために、CSRに関しての今までの経緯、現状を改めて見直す機会を得た。 環境マネジメントから端を発して、環境報告書の作成が多くの企業に展開し、それが今日的には、環境だけでなく…

村上春樹のバルセロナでの反原発スピーチ

6月9日にスペインのバルセロナであった、カタルーニャ国際賞の授賞式での村上春樹の反原発スピーチが話題となっている。 少しだけそのポイントを紹介する。 まず、日本人の精神性の紹介として無常観を提示し、その無常観が、日本人を災害へも仕方がないもの…

講演会 震災後のエネルギー政策〜これからの「国のかたち」を考える〜

昨日、6月12日に、神奈川県の二宮町で上記タイトルの講演会に招かれ、1時間半ほどの講演を行った。 その後、同じくらいの質疑応答の時間が続いたのには、驚きであった。 50人強の方々がいかにこの問題に関心が高いか改めて実感した。 今回の講演では、次の四…

原子力発電所の再開問題は大事な一里塚

今回の震災を踏まえて、原子力発電所を巡る方向性は、今後の日本社会の姿を決める重要な要素として位置づけられる。 どうも、政府は、夏場の電力不足を補うために、早急に、休止あるいは点検中の原発を再稼働させたい意向のようである。 しかし、少なくとも…

日本の環境産業の海外進出を支援するプロジェクトへの参画

日本企業の成長性ある海外市場への進出の必要性は、多方面で論じられているが、とりわけ、環境分野でも、日本独自の技術システムをいかにして海外へ展開するかが、今後の課題とされていた。 今年度の環境省事業において、その支援事業の採択案件7件が確定し…

同志社大学経済学部の上期講義の半分が終了

同志社大学での講義も先週4回目(8時限分)が終了した。 「環境ビジネスと企業の環境戦略」という講座名での講義で、四回にわたって、次のような内容の講義を行った。 1/ 環境政策全般に関する経緯〜エネルギー政策を含む温暖化、化学物質管理、廃棄物等管理…

ユージンスミス「智子の入浴」

大学の講義の最初に、環境ビジネスを考える上で最も重要なビジネスの功罪という視点から、公害問題の典型例、これで全てが語れるようなものをと考えた。 かなり悩んだ上で、ユージンスミスの著名な写真である「智子の入浴」を選んだ。 最初に、あの写真を見…

講義録。その1。

4月から始まった同志社大学経済学部での講義も、明日で四回目(各回二時限であるので、8時限)である。 少し、それを紹介してみたい。 講座のタイトルは、「環境ビジネスと企業の環境戦略」であり、経済学部以外の学部生も受講可能となっている。 4月13日の…

震災後のエネルギー政策について〜東電の賠償問題から〜

東京電力の賠償に関する政府案が論議を呼んでいる。 ざっと、この問題を考えてみたい。 これを考えることが、今後のエネルギー政策に大きな影響を及ぼすと考えるからである。 まず、現在の東京電力のバランスシート(BS)を見てみると、おおよそ、資産が13.2…

50の手習い。大学講師という仕事

この四月から、同志社大学経済学部で、講座を持つことになった。 講座のタイトルは、「環境マネジメントと企業の環境戦略」というものを頂戴した。 ちょうど良い機会をいただいたと考え、今まで実践してきたことを整理して、若い学生諸君にお話ししてみよう…