野田政権の原子力政策

新政権が誕生した。
菅政権から原子力政策がどう変わるのか、注目をして週末までの言動を整理してみた。


1/ 野田政権の主張は「脱原発」。
原子力政策としての発言は、明確な「脱原発」であった。
ストレステストを行った上で、既存の原発を段階的に稼働させ、耐用年数間の安定的運用を行う。
また、新炉の建設は実質的に不可能である。
ここまでは実は菅政権と全く変わってはいない。
但し、菅前首相は明確にここまでを述べているようで、述べていない。
その点野田総理の方が社会的に明確なスピーチであったという点だけの相違である。


2/ 浜岡原発について。
ひとつこれからの課題とすれば、浜岡原発をどうするか。
菅前政権でもストレステストの後の再稼働を否定していなかったので、おそらくこれも同様であろうと思われる。


3/ 再生可能エネルギーをどう扱っていくのか。
浜岡原発を含む原子力発電所の再稼働が進まないとすると、脱原発を前提とした上では、再生可能エネルギーあるいは過渡的なLNGガス発電等をどう推進するかに焦点は移る。
一部に、「減原発」というような意味不明の発言があったが、これはともかく村上春樹氏や社民党の主張する「反原発」は論議されることなく、脱原発の方向へ進みそうである。


4/ 被曝地である福島に対する今後の対応。
原発ではなく脱原発でというならば、その議論を社会的にしっかりやった上での判断として欲しいということであろうか。
というのも、被曝地である福島の状況が思いのほか芳しくないため、きわめて慎重さが必要となっている状況であるからだ。
最近文部省等から報道されている放射線量の蓄積が思いのほか高く、青少年の被ばくが心配なこと、また放射能を帯びた廃棄物の中間処理施設を福島県内に設置せざるを得ないこと(実質、最終処分に近い中間処理であることは明らか)等悩ましい問題が今後年末までに露呈するであろう。