中小企業の課題 その1 ~事業継承~

弊社がお付き合いしている業種のひとつに、廃棄物処理業がある。
法律で業としての位置づけが明確になったのは、1970年。
よって、日本におけるビジネスとしての歴史は、40年と考えて差し支えない。
その前から事業をしていた方々がいないわけではないが、そのほとんどは、生業的なものであったわけであるから、やはり40年と考えるべきであろう。


そして、その初期の段階は、社会的な偏見がある中でのビジネスであり、現在では考えられないような様々な困難があったのだろう。
そのような時代を経て、社会的にも認知され、また、企業としての体をなすようになったのは、1985年以降と思われる。
それからでも歴史は25年。


その創業世代が、ほぼ60代を迎えている。
裸一貫のたたき上げ、トラック一台からの成長を自分の子供の成長の様にしてきた世代の退場である。
この事業継承は難しい。


先日も、長年お付き合いしていた中小企業のひとつをお尋ねした。
社長とその奥さまである専務は、共に今年70歳を迎える。
御子息が専務をしているが40歳を超えている。
10年前から、事業継承の問題提起はしているものの、このような家族的な企業の場合には、第三者であるコンサルタントは、立ち入れる領域をどう設定するかが通常の企業よりもはるかに難しい。
この企業はその典型のような例である。


一般論的に話せば、次のような問題が存在する。
1/ 経営家族による負債の保証や担保物件の提供が存在していて、経営者の退場はこの問題を露呈する。
2/ 経営層に、家族以外が存在していない可能性がかなりある。
こうした場合の家族間での継承では、継承前後の意思決定に関わる役割の在り方が組織的・社会的に論じられる部分を超えて、感情的とりわけ父子間での感情的な問題を提起する事もある。
3/ 創業以来の取引に関わる様々な関係が多方面に存在している場合も問題である。
かつてのような反社会的なものは薄れつつあるが、銀行との関係・業界との関係ともに、至って俗人的であり、それを実質的には引き継げないことによる問題が存在する。
特に3番は今までの創業者の実績に基づいているため、きわめて頭の痛い問題である。


一般の企業では考えにくい話であるが、創業以来の家族経営をしていて、気が付いたら年間売上で100億近くまで到達している企業というのは、実はかなりの数存在している。
これらの事業継承に関する問題は山積している。