大学講義の経験から(その1)

半年ほどの同志社大学での講義で、いくつか気づいた点がある。それらを何回かに分けて整理してみたい。


先ず第一に、若い学生は、理論よりも実践事例を通じて課題がどこに存在するかを理解させた上で、その後に理論等を学習するほうが良いのではないかということ。
現在の大学での講義、特に専門課程では、理論や理論に至る歴史等を学習することが多いように思われる。
しかし、若い学生はその理論がどこで、どう活用できるかの問題認識を有していないのではないだろうか。
もしそうであれば、当然、学習の動機づけに乏しくなる。
一方、実践に置いて理論の必要性を認識した者は、理論の学習の必要性を問題認識した上で学習する。
この方が遥かに実践に即した理論学習ができるのではないかと思う。


近年、社会人の再学習の必要性が論じられることがことさら良くわかった経験であった。


また、講義において最も説明に窮する事は、なぜそのような問題が実際に発生してしまうのかという質問・問題である。
その背景等を知らない学生に説明することは、とても不安なものである。
最初のころに、学生の反応を見ながら講義を進めたが、徐々にほとんど理解できないことを前提に説明するようになった。
それでも学生からの質問が、徐々に内容的に深まってきていることはうれしい限りである。


しかし、講義後に質問に訪れる学生がいることがこんなにうれしいと思うのはなぜだろうか。
今まで、講演等を行った経験は多数あるが、講演後に質問されてうれしいと思ったことはそれほどない。
やはり、ここが大学だからだろうか。それとも小生が年を取ったのか…