菅首相の退陣と脱原発

菅首相が退陣を月末にするという報道が流れている。
菅首相が最後に主張していた「脱原発」というものをもう少し考えてみたい。


菅首相の主張する脱原発で少しわかりにくいことがある。
それは、浜岡を巡る対応に全てが表現されている。
浜岡原発を将来のリスクを理由にして休止することを要請したが、他の原発にはしないと明言した。
この段階でのスタンスは、反原発でも、もちろん脱原発でもない。


原発は、直ちに原発を停止して、原子力発電と決別した社会構造を求めるもの。
脱原発は、既存の原発を活用しつつ、徐々に第三の道を模索するもの。
この違いさえ、マスメディアでは混同している。


話を菅首相に戻すと、福島を停めた段階では、どちらのスタンスでもなく、浜岡固有の地理的条件(大地震の発生確率が高い地域にあり、発電所付近に断層があること)にしての停止であった。
そして、その後太陽発電等の再生可能エネルギー推進を打ち出したようで、明確には打ち出さないで今日に至っている。


この間の成果は、
1. 既存原子力発電所に対するストレステストの実施(これは必要不可欠のはずだったのに、政府は実施しようとしなかった)
2. 既存原子力発電所の再稼働への社会的な制約づくり(実施しようとする勢力に対してストレステストの必要性を打ち出すことによって、結果的に実現してしまった)
これだけである。
再生可能エネルギーに関しては不十分。脱原発に関しても、不十分。


今後必要なのは、本当に原子力発電所を継続的に利用できるかどうかに関する判断を社会的に行うことであろう。
選択肢は三つ。
A. 新規はともかく既存の原子力発電所を継続的に休止時期を決めないで利用し続けること
B. 既存の原子力発電所を段階的に廃止を計画した上で、それへの対応(当然再生可能エネルギー及びLNGガス等)を明確にすること=脱原発
C. 既存の原子力発電所を期限を限定して廃止することを明示し、それへの対応を直ちに実施すること=反原発


これらの選択に当たって必要なことは、
α 電力需要に見合う供給を前提とした電力計画を立案するのか
β 電力供給を現実的に想定して、それに対する需要計画を立案するか
これだけである。
これを論じる必要があるだけなのだ。